Waymoに入社してから1年半が経ったから振り返る
2024/12/26
2023年の6月にSoftware Engineerとして入社し、一年半が経った。簡単にいうと、会社も成長していて、プロダクトもいろんな人が使ってくれて(よくXで”waymo lang:ja”でエゴサしたり、RedditのSelfDrivingCarのsub redditを読んでる)、とても充実している。
Waymoとは
アメリカでレベル4の自動運転を開発している。国土交通省の資料によるとレベル4は「特定条件下においてシステムがすべての運転タスクを実施」と定義されている。乗客は運転ができなくてもよい。Waymoはロボタクシーを全米4つの都市で提供している(アリゾナ州フェニックス、カリフォルニア州サンフランシスコ、ロスアンゼルス、テキサス州オースティン)。最近では日本交通とGoアプリと提携して東京でテストを始める発表もされた。
転職活動と入社した理由
前職では社内で使われるシステムで、もっと外から見てわかりやすい大きなインパクトのある仕事がしたいと思っていた。なので、転職活動は
- 社外の人からでもわかりやすいインパクトがあるか
- 自分がプロダクトを使って、好きになれるか
- 未上場の会社
を軸に見ていった。上場の項目は僕自身が一度は上場を経験してみたいと思っているからだ。ただ、会社が上場するかどうかなんてわからない。なので、とりあえず自分がプロダクトを知っていてまだ未上場の会社にとりあえず応募していった。具体的に言うとNotion, Figma, Discordなど。ただ、これらのスタートアップは箸にも棒にもかからなかった。求人を毎日見ている中でWaymoの募集を見つけた。
自動運転にさほど興味を持っていたわけではないのだが、求人の内容がWaymoのサービスを拡大していくためのチームで、プロダクト寄りだったことから応募してみた。実現すれば大きなインパクトがあること、そして、リクルータからどんどん拡大していって面白いよと背中を押されて入社することに決めた。リクルータの言った通り、入社してから運行しているエリアの数が2倍になったりと成長を実感している。時系列順で出来事や自分の仕事を振り返ってみる。
2023/08/10 サンフランシスコ市内での営業許可をもらう
カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)からサンフランシスコ市内においてサービスを運行していいとの許可をもらった。つまり、乗客からお金を頂いて年中無休でロボタクシーを提供できるようになった。それまでは限られたテスターに無料で無人タクシーを提供していたから重要な出来事だった。
Waymo社員は意見を表明することはできないが、出席することで自動運転へのサポートを表現した。ちなみに初めて知ったのだが、この会議では市民が意見を述べ、すべての意見表明が終わったあとに決議に入る。自動運転に対する賛成も反対も多く、10:30amに始まった会議は6pm頃に決議に入った。お祭り気分で行っただけの自分は何も知らず、一度退出しオフィスで仕事をしたあとに6時頃に戻った。当日の様子はこちらで確認できる。7時間にも及ぶ長い会議だった。
当日の様子。自動運転へのサポートを示す黄色いTシャツには”Safer roads for all” (すべての人に安全な道)とプリントされている。
自動運転に反対している人たちもいた。彼らは抗議の内容を地面に書いていたりした。これらを撮っていたら、アンチ自動運転の人に「すべての人に安全な道をだって(Tシャツに書いてあるメッセージ)!?滑稽だね、危険に決まってる」と言われたが、スルーした。
2023/10 UberとWaymoのパートナーシップがスタート
入社後から取り組んでいたUberとWaymoのパートナーシップが10月にローンチした。
リリース前に最終テストのためにアリゾナ州フェニックスへ出張した。出張中はテストのセットアップや、バグが見つかり大変忙しかった。この出張で初めてUber社員と顔をあわせた。普段ミーティングで仕事の話しかしないが、チームディナー等でUberの社員や一緒に仕事しているチームメイト、さらに普段関わらないオペレーション側との人たちとも仲良くなれて有意義だった。
この写真はUberのお偉いさんがプロジェクトを体験したいと言うので、チームディナーの最中に諸々を確認している自分。無事Waymoにマッチしてお偉いさんは帰っていった。この写真を気に入っていて社内のプロフィール写真にしている。
このプロジェクトはメディアからも注目され、Good morning Americaが取材しに来たりほかのメディアも取り上げた。外から注目される仕事がしたかったのが転職理由の一つだったので、自分がやった仕事が取り上げられたのが嬉しかった。
2024/03 WaymoがUber Eatsのオーダーを届ける
Uber EatsとWaymoのパートナーシップがフェニックスでローンチした。これもUber Rideと同じでUber Eatsでオーダーをすると、Waymoがご飯を届けに来るかもしれない。いい点はチップを払わなくていいこと。少し微妙な点はご飯が届いたら、自分で車まで行ってピックアップしないといけないところ。
デリバリーの場合、車をお店のためにできるだけお店の近くに停めたい。そのために、路肩ではなくパーキングスペースに停まれるようにした。(実際のパーキングの様子)これが大変でいろんなエンジニアに協力してもらって、テストも何度もして実装された。ローンチの日は結構盛り上がってPMが生成AIを作って曲を作ったりチームメンバーが生成AIでイラストを作った。自分のお気に入りは3枚目で一時期Google Meetの背景画像にしていた。
Waymoのカルチャー
とてもよく情報が共有されている会社だと感じる。2024年の会社のOKR、達成するための数字等も共有されている。リーダーシップも社員の声をよく汲み取っていて、全社員アンケートででた問題点を改善するために動いているのをよく感じる。
会社の文化的には正しいことを正しくやることが推奨されていると感じる。Waymoは運転というGoogleやMetaなどのインターネットサービスに比べて、違う安全基準が求められるものに取り組んでいる。この違いが安全を追求する文化や、交通法を整理する人々との会話の積み重ね、市が管理する消防所などとのコミュニケーションにも現れていると感じる。
チームメンバーもマネージャーも優秀だと感じる。特にマネージャーはコードを書く速さ、読む速さ、問題を解決する速さ、問題の本質を掴む力、コンテキストスイッチの速さなどがずば抜けている。どうしてそんなに速いのかと聞いたところ、たくさんコードを読むんだと言われた。それを受けて、今年は他のメンバーがやっているプロジェクトのドキュメントやコードを一歩踏み込んで読むようにしている。
マネージャーの逸話だが、自分はこのチームに入って初めてC++を書くため、最初の3ヶ月くらいはレビューワーに入ってなくても僕のPRに目を通していたみたいだ。すごい。
出社義務に関してはうちのチームの話だが、毎週火曜日は来るのが推奨されている。それ以外は来なくてもいい。自分は他のチームメンバーがやっているプロジェクトの内容も興味深いものばかりなので、出社して積極的に話をしている。
まとめ
技術的にも社会的にも意義がある自動運転に取り組めていることに幸運だと感じる。仕事の内容もチャレンジングだし、会社もプロダクトも成長していく過程を経験できるのが本当に楽しい。Waymoに入ってから、自分の関わっているプロダクトを日常的に使いたくてサンフランシスコに引っ越した。仕事に追われて全然サンフランシスコを楽しめてないので、お茶でもランチでもパーティでもなんでも声をかけていただけると嬉しいです。
この記事を書くのに友達に協力してもらいました。N君、K君ありがとう!